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コスモポリタン台湾版によると、タイで新作映画興行収入ランキング1位を獲得した新作
ホラー映画『Operation Undead』が9月20日に公開されたとのこと。
この作品は、第二次世界大戦における日本軍に実在したといわれる、731部隊という有名な組織の存在を着想点として構成された物語で、軍の恐ろしい人体生化学実験を舞台に、日本軍と戦うために徴兵され悲劇的に非人間的で血に飢えたゾンビに変異し、戦場をさらに血なまぐさい恐ろしいものに変えた若いタイ兵士たちの物語が語られるというストーリーです。
監督:コンキアット・コメシリ監督
製作国:タイ
公開:2024年
制作会社:IFAメディアプロダクションコンキアットプロダクション
『Operation Undead』あらすじ
事態が勃発寸前にあった1941年、タイのチュムポーン県。この時、メック軍曹(チャノン・サンティナ・トンク)と弟のモック(アヴァラタナ・ピンタ)の関係も非常に緊張していた。
ある日モックは日本軍と戦うために最前線に徴兵される。彼らは日本軍が秘密の生物兵器を持って上陸してきたことを知らず、その犠牲となって感染して人を食べるゾンビと化してしまう。一方、メックは感染した変異生物を殲滅する任務を受けることに…。
ホラー映画、特にグロテスクな表現を伴うものに関しては、近年アジアの作品に注目が集まっています。2022年に公開された『哭悲(こくひ) THE SADNESS』などはかなり飛びぬけた例で、ホラーというジャンルの方向性が変わりつつアメリカやヨーロッパなどの国とはまた違った傾向であるといえる、かなりストレートな怖さ表現を用いたものが多く発表されています。
そして本作ですが、歴史上実際に存在したという日本軍の部隊をモチーフに、その部隊が作り出したとされる恐ろしい顛末を描いたというこの作品。
9月に公開されることとなった台湾は、どちらかというと日本とは友好関係にある国でありますが、一方でこうした旧日本軍の知られざる悲劇、恐怖劇に今、あえて触れるという傾向も、この近辺で見られるものであります。例えば映画ではありませんが、台湾のヘヴィー・メタルバンドChthoniCは、2011年に高砂義勇隊をテーマにした「高砂軍(Takasago Army)」をリリースするなど、第二次大戦下の旧日本軍と台湾との関係に触れた作品を発表しています。その意味でこの作品は、タイ発の作品であれど、台湾でも反響を呼びそうな作品であることが予想されます。
但し既出の映画レビューでは、多少タイという国の誇張表現、歴史的誤りなどが物語中に見られるとの指摘もされており、テーマ的にはシリアスながら多少B級感の漂う作品であるという様子も見えてきそうです。その一方でメイクなどの特殊効果は技術的に高い評価を受けており、一見の価値はあるといえるでしょう。
ちなみに本作は2024年のNYAF(New York Asian Film Festival)に正式選定されており、史実と戦争を組み合わせた物語設定に注目が集まっているとのこと。
「731部隊」とは
日本国外の領土で生物兵器、細菌戦、人体実験の研究を行う旧日本軍の秘密軍事医療部隊。生きている中国人、朝鮮人、ソ連人捕虜を使って残酷な生物化学兵器作戦を行い、学者らは細菌爆弾の爆破や生体解剖などの実験により、当時少なくとも1万人の中国、ソ連、朝鮮および連合国の捕虜が犠牲になったといわれている。
記事出典:COSMOPOLITAN 台湾版
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