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執筆者の写真黒野でみを

【トピックス】社会的問題が撮影にも影響した映画『VINA (Before 7 Days)』とは

更新日:10月1日


(C)2024. Dee Company、PT Umbara Brothers Film All Rights Reserved


9月26日のVOGUE台湾版記事によると、インドネシアの新作ホラー映画『VINA (Before 7 Days)』(原題:Vina: Sebelum 7 Hari)が27日より公開になるとのこと。


いわゆる心霊モノの物語となる本作ですが、ベースとなっているのは2016年にインドネシア西ジャワ州チルボンでバイクギャングの犠牲者となった16歳の少女、ヴィナ・デウィ・アルシタの実話であるといいます。


『VINA (Before 7 Days)』(原題:Vina: Sebelum 7 Hari)

製作国:インドネシア

公開:2024年

制作会社:Dee Company、PT Umbara Brothers Film

 

『VINA (Before 7 Days)』あらすじ


ある日のこと、インドネシアのチルボンの高架橋で少女ヴィーナ(ナイラ・ダニプルナマ)の遺体が発見された。


警察は彼女が交通事故で死亡したと主張したが、ヴィーナの体の傷があまりにも不自然だったため、家族はその主張に疑問を持っていました。

この時ヴィーナの魂は友人のリンダ(ジゼルマ・フィルメンシア)の体に乗り移っており、自分が体験した恐ろしい事件をなんとか公にしたいと考えており...


 

なんとも衝撃的なポスターにゾクッとするところでもあり、また予告でも恐怖シーンはなかなかにインパクト大であります。


一方でこの物語のベースとなった実はというものが、かなり衝撃的。

2016年8月27日にインドネシアのチルボンで16歳の少女ヴィーナとボーイフレンドのイーキーが高架橋で発見され、当初警察はこの事件を交通事故だと発表していましたが、遺体とともに発見されたヴィーナの携帯電話と、ボーイフレンドとともに乗っていたバイクが無傷だったことで、その発表に対しヴィーナの家族は疑いの気持ちを持ちながらも、「警察がそう言ったからには受け入れるしかなかった」といいます。


しかしヴィーナが亡くなってから3日後、事態は奇妙な方向へ。ヴィーナの女友達の兄が彼女の妹マルリアナにこんな電話をしてきました。

「あなたの妹の魂は、私の妹に乗り移っている」

マルリアナは父親と一緒にその友人の家に行った時のことを、こう振り返ります。

「ヴィーナは友人に憑依して、私たちに一部始終を話しました。彼女はこう言いました。『警察に騙されないで。これは事故じゃない…私は性的暴行を受け、殺害され、拷問され、木のブロックで殴られた』 」


ウェイナさんの魂の告白には、地元の暴走族のメンバーであるペギ・セティアワンという名前が記されており、マルリアナがこれらの自白を録音して警察に提出した後、警察は最終的に同じ暴走族グループに所属していた11人の容疑者のうち、セティアワンを含む8人を逮捕したそうです。そのほかのメンバーはまだ逃亡中とのこと。

 

なんとも痛ましく、そして不思議な展開を見せた事件でありますが、実は実話はこれだけで終わりません。

本作は、2016年に実際の事件が起きたチルボンでロケが行われたのですが、この時の撮影についてアンギー・アンバラ監督は「撮影中に撮影スタッフが偽警察官や犯罪容疑者らによる嫌がらせを受けた」ことを明らかにしています。


「高架橋で撮影中、警察官だと名乗る男が近づいてきて撮影を止めようとしたんですが、その男は警察の制服を着ておらず疑わしい上に、撮影スタッフに脚本を提供するよう要求したこともありました。撮影関連のキャストリストは公開したが、撮影秘密であるため、映画検閲局にも脚本を依頼する権利はない。また、暴走族の疑いがあると脚本の公開は断固拒否

しました。またスタッフにも迷惑をかけ、大騒ぎして撮影を妨害し、多くの時間を無駄にさせた者もおり、おそらく暴走族の集団だったかもしれないが、確かなことは分かりません」


この映画の公開後にインドネシア国民はヴィーナの無罪を要求、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領も警察に対し、オープンかつ透明性のある方法で事件の捜査を再開するよう要請したといいます。


アンバラ監督もインドネシア警察の召喚の対象となり7時間拘束されたとのこと。取り調べ終了後、アンジ・ウバラさんはインスタグラムで「証人として呼ばれたのは初めて。…(略)7時間以上にわたる私の証言が、警察の事件解決に役立つことを願っています」と述べています。


この物語は非常に不思議な事件であることに注目が行きがちなところでありますが、ある意味インドネシアという国に内在する問題を提起しているとも考えられるものであり、そのエピソードには映画というメディアの力を改めて考えさせられるところでもあります。


記事引用:



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